#3 IT業界の資格試験のお話(主に国家試験)

【注記】本記事の内容は2025年6月時点のものです。最新情報は必ずIPAの公式サイトでご確認ください。

こんにちは、佐野です。集合研修も終わり、いよいよGRANDIT研修が始まりました。

ITの世界には様々な資格試験がありますが、日本で最も知名度が高いのは、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が主催する「情報処理技術者試験」および「情報処理安全確保支援士試験」です。筆者もこれまで数多くの試験に挑戦してきました。

この記事を読んでいる皆さんの中にも、これらの試験合格を目指している方が多いのではないでしょうか。そこで今回は、IPA主催のこれらの試験について、概要やポイントを分かりやすく解説します。

厳密には情報処理安全確保支援士試験は情報処理技術者試験とは別枠の試験ですが、便宜上以下では情報処理技術者試験の1区分として説明します。

目次

情報処理技術者試験の概要

情報処理技術者試験は計13区分(試験)※1で構成される国家試験であり、4つのレベルに分かれています。
いずれの区分にも受験に必要な資格はなく、だれでも受験できます。

一部試験はCBT方式と呼ばれる方式で試験が行われています。
これはパソコンを用いて受験する方式で、随時受験できます※2

各レベルの試験の概要

レベル1(試験区分1つ)

ITパスポート試験(CBT方式)

受験者層:学生、社会人

情報処理技術者試験の中で最も易しい区分であり、IT初心者の学生や社会人を対象としています。
「ITは未経験だけど、興味がある」という方には、まずこの試験から始めることをおすすめします。

レベル2(試験区分2つ)

・基本情報技術者試験(CBT方式)
・情報セキュリティマネジメント試験
(CBT方式)

受験者層:情報系の学生、IT企業の新卒社員

基本情報技術者試験はITエンジニアとしての登竜門的な試験です。
エンジニアを目指している方は、まず基本情技術者試験に挑戦してみてください。
学生でこのレベルの試験に合格していると就活でアピールできます。

レベル3(試験区分1つ)

・応用情報技術者試験

受験者層:数年の実務経験があるエンジニア
合格率:約20~25%※3

ワンランク上を目指すエンジニア向けの試験です。
試験形式は午前試験が四肢択一式、午後試験が記述式で、合格には午前・午後ともに60%以上の得点が必要です※4

このレベルから記述式の試験が課されるため難易度が高くなり、情報系の学生でも苦戦します。

学生でこの試験に合格していると就活でかなりのアピールになります。

レベル4 高度試験(試験区分9つ)

・情報処理安全確保支援士試験
・ネットワークスペシャリスト試験
・データベーススペシャリスト試験
・エンベデッドシステムスペシャリスト試験
・プロジェクトマネージャ試験
・システム監査技術者試験
・ITストラテジスト試験
・ITサービスマネージャ試験
・システムアーキテクト試験

受験者層:数年~十数年の実務経験があるエンジニア
合格率:約15%※3

各分野で実務経験を存分に積んだエンジニアが箔をつけるための試験です。合格者平均年齢も30代後半から40代前半※5となっており、実務経験豊富なエンジニアが多く受験していると考えられます。試験内容も難しく容易に合格できる試験ではありません。

試験形式は情報処理安全確保支援士試験を除いて午前試験と午後試験が各2つ、午前試験は四肢択一式、午後試験は記述式または論述式です。情報処理安全確保支援士試験のみ午後試験が1つとなっています※4
また、一定の条件を満たす場合、午前試験の一部を免除することができます※6

前述したように、高度試験はどれも難易度の高い試験です。しかし、論述が課されない試験では、社会人よりも学生の方が合格率で優れる傾向にあります※3
このレベルの試験を受験する学生は研究や講義等で専門的に学んでいると考えられ、また学生は勉強時間を確保しやすいことが背景として考えられます。

高度試験の中で最も合格しやすい試験は情報処理安全確保支援士試験です。
この試験に合格すると名称独占資格である情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の登録資格が得られます※7
応用情報技術者試験に合格して余力のある方は、ぜひ挑戦してみましょう。

学生でレベル4の試験に合格していると就活では一目置かれる存在になります。

情報処理技術者試験を受験するメリット

1. 知名度が高い

情報処理技術者試験はIT関係の資格試験の中で高い知名度を誇り、日本のITエンジニアで知らない人はいないほどです。合格すれば様々な場面でアピールできます。

2. 合格は一生モノである

IT関連の資格では、民間資格などでは定期的に更新しなければ合格が失効する資格があります。
しかし、情報処理技術者試験は一度合格すれば失効することなく、合格の事実は一生残ります(試験制度が変更になる場合はあります)。

3. 体系的な知識を得られる

情報処理技術者試験は影響力の大きい国家試験ということもあり、問題の質が高く学習効果も高いです。
また、ベンダー依存がない内容となっているため、特定の製品に偏らない普遍的な知識や技能を養うことができます。

最後に

IT企業への就職を考えている就活生または内定者の皆さまは、基本情報技術者試験に挑戦してみてください。
IT企業の中には、入社までにこの試験の合格を求められることもあります。

最後に、筆者のこれまでの受験経歴(すべて合格)をご紹介します。

2021年 秋 基本情報技術者試験
2022年 春 応用情報技術者試験
2023年 春 ネットワークスペシャリスト試験
2023年 秋 情報処理安全確保支援士試験
2024年 秋 データベーススペシャリスト試験

いずれはシステムアーキテクト試験に挑戦しようと思っています。
筆者が受験した高度試験については今後の記事で詳しくご紹介します。
どうぞお楽しみに!

参考リンク

※1 試験区分一覧 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
※2 情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験(CBT方式) | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
※3 情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 統計資料 令和 6 年度試験 全試験区分版
※4 情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 試験要綱 Ver.5.4
※5 平均年齢
※6 午前Ⅰ試験免除 情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
※7 登録資格を取得するには | デジタル人材の育成 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

この記事を書いた人

  
・出身学部系統:理系(情報系)
・プログラミングの経験:あり(授業および卒論等である程度学んだ)
・得意なこと:絶え間ない努力
・一言:実務上求められる技術的要件に応えるべく、確固たる技術力および的確な課題解決能力の修得に継続して取り組んでまいります。
   

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